初夏になると港や堤防でもサビキに食いついてくるコイツ、スズメダイ。
小さいし色はなんか赤黒いし、大抵の場合は持ち帰られずにその場でリリースされる魚。
しかしそんなスズメダイも、初夏の頃合いは抜群に美味いという情報を得たので、今回は持ち帰って料理してみることにした。
漂う外道感
大きくても12センチ程度の個体、骨は硬そうだし鱗も硬い。
スズメダイは「タイ」と名が付くものの、いわゆる鯛とは別系統の魚。
しかしその見た目といい、骨太で鱗が硬くて多いところといい、特徴は鯛のそれによく似ている。
なので調理しにくいのだが、辛抱強く下処理をしていく。
頭と内蔵、鱗を取る。そこからヒレを切り落として・・・
こんな感じになった。ち、小さいぞ・・・
刺し身でいただきたいのだが、これを切り身におろしていくのは大変そうだ。
そこで思いついたのは「背ごし」という調理方法。
魚をこの状態から薄く輪切りにしてそのままいただくのだぞうだ。
つまり骨ごと食すわけだが、薄く切ればそれでもイケるというものらしい。
そんな感じで見様見真似で背ごしにしてみると、こんな感じの切り身ができあがった。
それとなく美味そうな雰囲気もしてくる。
包丁を使っていて気づいたのだが、なんと、包丁や手がぬるぬると脂で滑るではないか。
そう、このスズメダイ、めちゃくちゃ脂がノッている。
小さい身体からは想像がつかないほどの脂がノリっノリである。
初夏のスズメダイは美味い、というのはこの脂が乗る季節だからなのだ。
そんな感じで釣った全てを背ごしにしてみた。
それでも量は少ない・・・が、醤油とわさびでいただいてみることにする。
う、美味い!
やはりとんでもない脂のノリだ。鯛とは別系統だと言ったが、味は上品な鯛の味に似ている。
脂の甘味と旨味が小さな身にぎゅっと詰め込まれていて、噛むほどにその味が口の中に広がっていく。
骨はまあ、邪魔だったが、それが気になっても食べ続けたくなるほどの味の良さだ。
※本来は酢で軽く締めたりして骨を柔らかくするのが良いらしいが、面倒臭がって省略した
しかし美味い、美味すぎる。
この味は間違いなく高級魚のそれだ。
関西の方では食用にする地域もあるとのことだったが、料理する手間さえ惜しまなければ美味い魚であることは間違いない。納得である。
みなさんも5月から6月の釣行でこの小さい天使、スズメダイを捕獲したら持ち帰って食べてみてほしい。